腎癌(その2)

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2度の癌を切らずに治療―いかに長く普通の生活を送るかが大切―

患者さんの体験談

 日常生活の停止――癌にかかった人は皆、多かれ少なかれこのことに直面します。それは、病理上の問題よりもある意味深刻かもしれません。もし、健康な人と同じ生活が送れるとしたら、癌という病氣のイメージは大きく変わるのではないでしょうか。
 今回お話をお伺いしたAさん(東京都在住・54歳)は、癌を抱えつつも、それ以前と全くと言っていいほど、変わらない生活を送っています。
 Aさんは、14年前にも腎癌と診断され、腎臓の摘出手術を勧められました。
しかし、手術をせずに、日常生活を送りながら、食事療法で治していこうと、森下自然医学の療法を選択。 5年間きっちりと自然医食を実践して、癌をいったんは克服されたのでした。が、仕事のストレスや食生活の緩みの中で、再び腎癌に。再度、お茶の水クリニックに来院し、昨年から食事療法を続けられています。朝は6時半に起き、午前2時に寝るというハードなスケジュールを送る中にあってさえ、めざましい回復ぶりを示すAさんのご様子は、いかに普通の生活を送りながら癌を克服するかを願う、患者さんたちの福音となるに違いありません。

院長の所見

診察(10月14日)
■内臓機能曲線
自律神経の働きは不安定。神経的に胃、小腸、大腸の働きは変化しやすい。消化管、胃の働きは落ちている。大腸の一部にやや負担がかかっている。血液の循環状態が少し鈍い。腹部臓器としては、肝臓、腎臓の働きが少々低迷している。 ■一般血液検査
血液の数値では、尿素窒素、腎臓の数値が少し高い。

院長 数値が高いとは言っても、前に比べると下がりましたね。尿素窒素は、11.1から6.9まで一挙に下がっています。これは非常によろしい。あとは、GOT、GPTなどの肝臓の数値。これも前回に比べると下がってきています。GOTは20から10に、GPTは14から11になりました。肝臓から毒素が、ある程度抜けたなあーということを窺わせる状態です。
 血液生態ですが、前回は血液中に脈管系統のボンパ血管などがばんばん出ていたんですね。今回はそれとは別の種類の毒素が出てきています。こちらは、かなり大型の円盤状毒素体です。

Aさん それってチーズとは関係ありますか。

院長 円盤状毒素について説明しましょう。
通常の毒素体はグランドに生えた雑草のように、どちらかというと地べたにへばりついた状態で、菌が繁殖しているのです。それに対して、この写真の円盤状毒素体は、その時期を過ぎ、細菌が酵母菌に変異して杉林のように突っ立っている状態です。上から見たのではよくわかりませんが、横から見ると肉厚になっています。これは、酵母菌ですから、チーズなどとの関係もあるのでしょうね。

Aさん 9月に社員旅行でスイスに行った時に、チーズを食べているんです。

院長 チーズを食べたことと、この円盤状毒素の出現は関係しているでしょう。ただ、こういうものが出てくるということが、悪いというわけではありません。ずっと体の内臓に蓄積されたままの状態で、うろうろし続ける―ということの方が遥かに問題なのです。このように溶毒して血液中に出現したのですから、あんまり氣になさらなくともよろしいと思います。
 毛髪氣能検査では、消化管がほとんどマイナス。消化管以外では、腎臓がマイナスです。それから、玄米、丸麦、はと麦、粟、稗、黒豆、小豆、大豆、そば等、穀類は全部合っています。玄米以外に粟と小豆の相性が特によろしいですよ。

Aさん あの、先生、実は先日、血尿が出たんですよ。 9月の社員旅行に行く前に少し忙しかったせいかもしれません。寝る前の、午前2時半くらいに排尿したら、真っ赤な血が出ました。この1年くらい異状はなかったのですが。でも、血尿は1回きりで、その後は全然なんともないんです。

院長 その後は出ていないんですね。

Aさん はい。

院長 ストレスからきていることもあり得ますが、治っていく過程での現象とも考えられます。
 例えば尿管、腎臓、膀胱などに何か病変が起こるとき、癌の細胞をはじめとしてその他の腫瘍細胞もそうですが、赤血球という細胞が中心となって腫瘍細胞に変わるわけなんです。治る時は、その腫瘍細胞が赤血球やその他の血の細胞に逆戻りしながら、きれいに治っていきます。だから、腎臓か、膀胱か、尿管かわかりませんが、そのどこかの病変が血に戻って治っていく―という現象だった可能性もあります。

Aさん 痛みも何もないので、変だなと思っていたんですよ。

院長 身体状況が変化してきているので、強化食品の処方を一部変えました。続けてお試しになってください。

Aさん ありがとうございました。

インタビュー

一度は癌を克服 しかし、再び…

――以前、クリニックに5年間通院されて、腎臓癌を克服されたということですね。

Aさん ええ、14年前のことですが、腎臓に癌が見つかりまして。病院ではすぐに腎臓の摘出手術を受けるようにと言われました。

 たまたま、会社の同僚が本で森下先生のことを知っていたので、教えてもらい、すぐに先生のところに来て、びっちり食事療法をしました。5年間、その生活を続けて、癌を治したんです。でも、完全に治ったということで、氣が緩み、肉だけは食べなかったものの、普通食の生活に戻ってしまったんです。普通食に戻って8年間は、別段、際立って悪いところもなく過ごしていました。

――昨年からまた来院されるようになったということですが。

Aさん 昨年の9月頃、尿の出が悪くなって、痛みがあったり、膿が出たりということがあったんですね。病院で通常の検査をしたら、特に異常はないという結果でした。でも、病院の先生にその年の1月に血尿が出たということを話したら、MRIの検査を勧められて検査しました。そしたら、お医者さんがあせってしまうくらい大きな腫瘍が腎臓に見つかったんですよ。腎臓のすぐ近くに腹膜から戻ってくる大きな血管があるのですが、その血管にまで腫瘍が広がっていたということです。
 お医者さんは、血管の膜から、脳や肺に転移している可能性が高いとみていたようですが、幸い転移はありませんでした。治るかどうかわからないけど、とにかくすぐに癌の摘出手術をするように、ということだったんです。でも、私はお茶の水クリニックを知っていたので、また森下先生のところで治そうと決めて、ここに戻ってきたんです。

――腎癌の再発ということですが、1度目と同様に2度目も手術せずに治そうとされているということですね。

Aさん 癌が見つかって1年くらいたちますが、今こうやって仕事ができているのは、森下先生のおかげです。あのまま病院で言われた通りに切っていたら、どうなっていたかわからないですね。
 癌が見つかった頃は、毛髪氣能検査で内臓の数値がマイナス5か6だったのが、最近ではマイナス2くらいまで戻りました。リンパの数字も0か1くらいになったので、治療の効果がでてきているのかなあと思います。
 体重も20キロ近く落ちました。この療法をまじめにやっていると、自然と体重が落ちるんですよ。ただ、今、仕事が忙しくて先生が言うような運動ができないんですけど。睡眠時間も相変わらず4~5時間というのが続いている状態です。でも、逆にそういう生活を送っていても、仕事もし、普通に生活していられるということはいいことなのかもしれませんね。

――睡眠時間が4~5時間とは大変ですね。

Aさん 会社役員をしているのですが、会社が2つありまして、午前中は都内にある会社に出勤、午後はそこから50キロほど離れた場所にあるもうひとつの会社の方に行きます。帰宅するのは、午前1時か2時くらいです。朝は6時半に起きています。
 森下療法のいいところは、眠くならないことですね。あまり睡眠時間を取る必要がないんです。消化する時間がいらないというか。仕事をするには、いい療法です。

――健康な人でも大変な生活だと思いますが、お元氣で過ごされているのですね。

Aさん ええ、癌がみつかってから、カゼもひかず、休日以外は1日も休んでいません。

再発した原因は

――腎癌が再発したことに、何か心当たりはありますか。

Aさん 再発する前から、なんとなく体調の悪さを感じていました。普通食に戻して、8年間の間に、だんだん太ってきていました。スーツのウエストもどんどん太くなっていて。仕事上での飲み食いもあったり、自分でおいしいお店を探して食べに行くようなこともしていましたね。
 一方で調子がよくないことを自覚していたので、いつか玄米雑穀の食事に戻したいな、と思っていました。でも、忙しく仕事をしていると、なかなか食生活を戻すということがむずかしくて。昨年の9月に癌が見つかったことで、玄米雑穀の生活に戻れて、ほっとしているところです。

――5年間きっちり食事療法をされていたのに、その後普通食に戻ってしまったきっかけというのはありますか。

Aさん いや、戻すのは簡単ですよ。癌が治ったことで、安心してしまって、ずるずるとね。
 8年間の最後くらいには、魚介類が好きなので、寿司屋によく通い、けっこうな量を食べていましたね。
 27歳の時に腎臓結石を患ったりと、腎臓はもともと弱いんですよ。腎臓のフィルターに負担がかかるから、魚介類などもあまりよくなかったのでしょう。
 再発したのは、食事と仕事のストレス、そして運動しないのが体にたまっていってしまったんでしょうね。自分流の考え方ですけれど。

――仕事のストレスとおっしゃいましたが、腎臓はストレスの影響を強く受ける臓器ですよね。やはりお仕事の忙しさがストレスになっていると感じていらっしゃいますか。

Aさん 会社は、お客さんから注文を受けてからものをつくって納めるという受注生産の方式をとっているんで、波があります。常務という立場にあるので、現状維持ではなく、やはり攻撃的に会社を発展させていかなくてはと考えています。従業員も全部合わせると100人くらいいるのですが、そういう人たちの生活も守らなくてはいけない。そういうストレスはありますね。長くそういうストレスの中にいると、病氣になるかもしれないです。
 ただ、ストレスというのも、やりがいと表裏一体である部分もあります。業績が上がったそのご褒美として、うちの会社では年に1回、社員の人たちを連れて海外旅行に行くんです。社員の人たちは、それを楽しみにしています。実際、定年退職のスピーチでもそれを感慨深い思い出として話す人もいますから。また来年も連れていきたいと、それを張り合いにがんばったりするわけです。
 私は従業員から役員になっている人間なので、働く仲間により多くの利益を与えたいと考えています。だから、なんとか業績を伸ばして、従業員の生活の基盤を支えていきたいという思いでやっています。ストレスは半端じゃないですけれど。

――業績を伸ばして従業員の人にも利益を与えたいという思いが、癌にも負けないことにつながっているのかもしれないですね。
 ところで、ストレスの部分を緩和させるようなことは何かされていますか。例えば瞑想であるとか。

Aさん 瞑想はないですが、歌舞伎を観に行ったり、美術館で絵を見たりというのはあります。そういうのが好きなもので。
 ストレスといえば、9月の社員旅行の前にすごく忙しかったのですが、血尿が出ました。ストレスのせいかと思っていましたが、1回だけで痛みやその他の自覚症状もないので、改善反応の可能性があると、今日、先生に言われて安心しました。癌が血液に戻って出て行く現象であるかもしれないからあまり心配しなくていいと。クリニックでの検査の数値もどんどんよくなってきていますしね。
 ただ、普通のお医者さんに話してもなかなか理解されませんね。「前にあった腫瘍がどんどん大きくなっているんですよ」と言われてしまうでしょうね。森下先生のように、理論的に詰めてこういう療法をやっている人は他にいませんからね。
 自分としては、手術をしたりして腫瘍をなくすことが目的ではなくて、普通に生活できることが目的なんですよ。こういう療法をやって、節制すれば普通の生活が送れるということは私にとっていいことだと思います。

――その後、病院での検査などは受けていらっしゃいますか。

Aさん いいえ、病院での検査は受けていません。まあ、血液検査などに関しては、普通の病院の検査よりも、クリニックの検査の数値の方がかなり厳しいですからね。

――今回の癌が見つかったとき、尿の出がよくないという自覚症状があったということですが、そういった自覚症状はいかがですか。

Aさん 今は全くないですね。この療法をまたはじめてから、体調が急激によくなりました。カゼも一切ひきませんし、頭痛もなくなりました。この癌がみつかる前は頭痛がひどくて、頭のCTスキャンをとったりもしました。異常はなかったのですが、今思うと何かの警報だったのかもしれません。

いかに長く普通に生活するか

――当面の目標は、癌を克服されることですか。

Aさん そうですね。この前は5年間やりましたから、今回は3年間はきっちりやらないと。

――一生きっちりやっていく心づもりなのかと思いましたが。

Aさん いやいや、よくなったら、1週間に1回、いや1ヶ月に1回でいいから、おいしいものを食べに行きたいと思っていますよ。森下先生には言っていませんが(笑)。
 それはさておき、食事を忠実に守っていくこと自体が目的でなくて、普通の生活をいかに長く送れるかが、大事だと思っています。私の祖母は94歳まで生きたのですが、亡くなる直前まで、寝たきりにもならずに、普通の生活を送っていました。祖母のような生き方が理想であり、目標です。